無料ワンポイントレッスン#111〜#121
ホームページを最初に作った時(2003年)に書いていた「全175回の無料ワンポイントレッスン」です。古い記事のため、読みやすく配慮していない文字情報ですが、リニューアルで削除せずに残すことにしました。今回はDiminishシリーズがあるので#121までです。
第111回:デッドポジション
ギターは「小さなオーケストラ」
と呼ばれるほどよく出来た楽器だと思いますが、
デッドポジションという場所はあると思います。
勿論楽器にもよりますけどね。
例えば、単音で弾く場合。
1弦の1fは線が細すぎて使い物にならない。
6弦15f以上はどうもヌケが悪い。
上記のポジションの音へ行くときは
私は無理をしてでも別のポジションへ移動させ弾いています。
そして自らデッドポジションにしてしまっている事も非常に多いです。
和音で言えば、5弦ルートと6弦ルートの間にある和音。
音階の見えないポジション。
音すら分からない場所。
ギターを演奏する上で自分の楽器のどこでどんな音が出るかを
しっかり見ることも必要だと思います。
私は楽器とは別に、音階や和音・理論・練習等に関しては
「使えない」と思いたくありません。
それは使えない自分が悪いと思っております。
「Cメジャースケールは単調で面白みに欠ける」という方が
どの程度メジャースケールの可能性を探求したか?
あらゆるインターバルを調べ、沢山のリズムで演奏をする。
時には違ったコードの上で演奏したりする可能性まで
研究したとはとても思えません。
音楽を勉強&学習していて
面白いなぁと思う部分にはそんな事も含まれると思います。
第112回:Ⅵ度上のトライアド
〇7thコード上にⅥ度上のトライアドを使用する。
私はこの技法をPETER BERNSTEINから学びました。
C7を例にすると、C7上でA△を弾くということ。
すると、どうなるのかを考えてみましょう。
A△/C7=Root+3rd+5th+♭7th上に
13th+♭9th+3rdというトライアドが入ってきます。
「だから?」
♭9thと13thが共存するということは
コンビネーション・ディミニッシュ(通称コンディミ)を
想定しなければ弾けないんです。
コンディミの説明はまた別の機会を設けますが、
コンディミ自体を弾くのは非常に難しいです。
人工的に作られた音階だけに(半音、全音を繰り返し)
歌わせるのが大変という意味で捉えてください。
しかし、Ⅵ△を弾くだけでコンディミの特徴を出すことが出来ます。
メカニカルさがコンディミらしいと思う方には
考えつかないかも知れませんが。
少ない音で表現することが出来ます。
重要なのは奇妙な演奏をすることではなく、
自分の中に難しい音をいかに自然に取り込むか!
普通に聴いているとなんてことないけれど、
実は凄く難しいことをやっている。
これは私の目指す方向でもあります。
優秀だと言われている若手ギタリストの大半が
この手法を取り入れていることにもその重要性が感じられます。
Ⅵ△をいつどの7thコード上でも演奏出来るよう、
練習しましょう。
第113回:和音平行移動
ギターという楽器はスケールだけでなく
和音まで平行移動できてしまう素敵な楽器です。
そのため、和音を半音でスライドさせるという手法は
ギタリストにとって必須です。
平行移動の種類には
①スケールを基にしている場合
②コード進行を基にしている場合
③装飾的な場合があります。
③は上記のような半音のスライドから
4フレットぐらいの平行移動までを含みます。
4フレットも同コードをスライドさせることは
ほとんどありませんが、結構かっこいいんですよ!
①は一定の規則性を持った音階の場合です。
ディミニッシュ・コードは3フレット幅(短3度)で移動出来ます。
ホールトーン・コードは2フレット幅(長2度)で移動出来ます。
ホールトーン・コードとは
そう考えられることはあまりありませんが、
コード自体には9、#11、#5(5thは不可)
といったテンションが入ります。
C7(9th)omit5th(5弦3F、4弦2F、3弦3F、2弦3F)
のようなよく知られたコードも平行移動が可能です。
オーグメント・コードも同様に考えてみて下さい。
②コード進行を基にしている場合
私はこれが非常に大切だと考えております。
1つのコードを押さえられたとしたら、
あなたは複数のコードを押さえられるようになったということです。
Dー7♭5というコードを例にしてみましょう。
5弦5F、4弦6F、3弦5F、2弦6F
・・・いたってシンプルなこのコードをどう捉えてますか?
私はこの押さえ方で最低4つの和音が見えております。
まずD-7♭5、そして2つの7thコードB♭7(9th)と
裏のE7(♭9,#5)、最後にF-6。
〇-7♭、〇7(♭9)、〇ーがあるということは
マイナーのⅡーⅤーⅠが同じ形で移動するだけで
弾けてしまうということです。
ⅡーⅤーⅠやⅠーⅥーⅡーⅤといった進行で
可能性を探ってみてはいかがでしょうか?
第114回:試奏
今回は試奏について・・・。
言うまでもなく楽器屋さんでのお話です。
一体試奏で何を知りたいのかしっかり考えるべきです。
ギターを渡された瞬間「キュイ~~ん」とチョーキング・・・・??
ギターを渡された瞬間「ピロピロピロピロ」と凄い音群・・・・??
まずは楽器の鳴りやサウンドの特徴を知ることが
大事なのではないでしょうか?
和音を鳴らした時のバランスとか、
高音域のヌケやボディの振動、
ボリューム・レベルによるサウンドの違いなど
もし貴方がギターを弾くだけで精一杯な状態ならば、
パラパラと弾いてもサウンドが分るはずはありません。
そのギター独自のものを捉えてから
自分の弾くフレーズがどんな風に聴こえるか試すと良いと思います。
実はレッスンでもこの点を見ると非常に面白いんです。
ギターをセットして生徒さんが何を弾くかを聴くことで、
その日の生徒さんの自信の程がうかがえますし。
底力がどの程度上がったのかが分ります。
たとえ雑談をしていても、
私にとっては既にレッスンが始まっています。
またライブを見ていて面白いのは
あまり上手ではない方ほど曲が始まる前に無駄な音が多いんです。
これから曲が始まるのに
何でそんなに弾くの?ってくらい(笑)
また初心者になるほど心とは裏腹に
大きなサウンドになっていってしまうんです。
まぁ一概には言えませんけどね。だいたいは当てはまります。
すこし意識してみてはいかがでしょうか?
第115回:心にメトロ&頭にネック
意味不明?
正式には心にメトロノームを作れ!
頭にギターのネックを描け!ということ。
メトロノームを作れ!
というのはリズムトレーニングでは
よく言われることだと思います。
実際にメトロノームを使用して、
裏を感じるなどしてしっかりとリズムキープをしましょう。
問題は頭にネックを描いていない方がかなり多いこと。
指板をしっかり見ているのに、
次に鳴る音がどんな音なのか予測すら出来ない人達です。
時には高いのか低いのかも理解されていない方がいらっしゃいます。
①心を静かにして目を閉じてギターの音を聴いてみましょう。
②音を高い方へ、また低い方へ意識して動かしてみましょう。
ギターの指板上でどう動いたらそうなるのかを知ることです。
③なるべく自分の次に出したい音へ指を動かしましょう。
これだけでも十分に
ギターと自分の心を繋げることが出来ると思います。
頭にネックを描けるとギターを持っていない時でも
なんとなく音を鳴らせることが出来るようになりますし。
自分が弾きたいと思うフレーズを予測することが出来るようになります。
私自身にも常に言い聞かせていることですが、
絶対音感を持てなくても、
しっかりと訓練された相対音感を持つことが大事です。
第116回:Diminish Chord①
Diminish=減少している・・・
これだけでは意味が分りませんが
Dimishというコードは非常に利用価値が高いコードです。
また、その不協和さはNo.1です。
Diminishコードについて簡単に説明します。
Root+m3+m5+M6という
全ての音同士がこのいずれかの音程になります。
Ex)Cdim=C+E♭+G♭+A
C-E♭、E♭ーG♭、G♭ーA、A-C・・・m3。
C-G♭、E♭ーA、G♭ーC、A-E♭・・・m5
C-A、E♭ーC、G♭ーE♭、A-G♭・・・M6
このように
全ての音同士の音間はm3、m5、M6のどれかになるコードであり、
Cdim=E♭dim=G♭dim=Adim
となります。
1つ覚えれば4つ覚えたことと同じ、素晴らしいですね。
このDiminishの使用方法は
本当に沢山ありますので1つずつご紹介していくこととします。
まずは一番よく使用される
パッシング・ディミニッシュ(P.D.)という方法。
つまり経過的にdimコードを入れていく手法である。
ダイアトニックコードにdimを入れた例が下です。
IM7-#Ⅰ7dimーⅡm7-#Ⅱ7dimーⅢm7
-ⅣM7-#Ⅳ7dimーⅤ7-#Ⅴ7dimーⅥm7
ディミニッシュコードが半音上に上がるとき、
半音の反行ラインが生まれ、
そこに解決感が生まれます。(〇m7♭5を除く)
Ex)BdimーCM7・・・・B音は半音上がりCへ解決、
F音は半音下がりEへ解決。
BdimーCm7・・・・D音は半音上がりE♭へ解決、
A♭音は半音下がりGへ解決。
この短くそして強い進行感を作りだすことにより
流れをスムーズに出来ます。
次回から更に発展したDiminishのお話に入りたいと思います。
第117回:Diminish Chord②
さて、今回はDiminish Chordを代理和音で使用してみましょう。
ディミニッシュには三全音(増4度)が入っているため、
〇7コードに変換させることができます。
また、ディミニッシュが便利な点は
全ての音の半音下の〇7(♭9)と考えて弾くことが出来ること。
つまり、Cdim7というコードは
B7(♭9)、D7(♭9)、F7(♭9)、A♭7(♭9)で
弾く事ができます。
このように、同型で移動出来る和音というのは
ギタリストにとっては非常に使い勝手が良いので是非覚えましょう。
さて、では今度は逆に
前回のPD(パッシングディミニッシュ)を
別のコードで考えてみよう。
~CM7~C#dim~D-7~D#dim~E-7~
~CM7~A7~D-7~B7~E-7
ディミニッシュの入った複雑な進行も、
次のコードへドミナントモーション(5度進行する)
と考えればそこまで難しくはありません。
しかし下行PDについては5度進行できないので、
Ⅱ7を選択することが多い。
E-7~E♭dim~D-7
E-7~F7~D-7
第118回:Diminish Chord③
さて、まだまだDiminishの使用方法は続きます。
今回はChanging Diminish(転過和音)としての
Diminish Chordの使用方法です。
これはそんなに難しくはありません。
PDが間に挟むdiminishだったのに対し、
後半のdim~any Chordという流れだけにしたもの。
Passing Diminish=CM7~C#dim~D-7~D#dim~E-7
Changing Diminish=CM7~D#dim~E-7
通常は上記のように
半音下からアプローチするのが基本ですが、
時には下降したり同ROOTで変化させる場合もあります。
下降・・・GM7~E♭dim~D-7~G7~C~
同ROOT・・・CM7~A-7~Ddim・D-7~G7
第119回:Diminish Chord④
まだまだいきます!Diminishの使用方法!
今回は(トニック・ディミニッシュ)です。
メジャーキーでやる場合がほとんどですが、
ⅠM7をⅠdimに置き換えましょう。
なんとも素敵な雰囲気が出てきます。
私はシングルノートのソロを取る時に
頻繁にこの手法も用いて解決を遅らせています。
Stella By Starlightという今日の冒頭部分がそれにあたります。
キーはB♭です。
~EΦ7~A7~C-7~F7~
どこにもdiminishが出てきません。ではこう考えましょう。
~B♭dim~C-7~F7~
↓↓↓↓
~A7~C~7~F7~
diminishコードは全ての音の半音下の〇7♭9に置き換え可能でしたね。
↓↓↓↓
~EΦ7~A7~C-7~F7~
そして〇7コードはいつでもⅡーV化することができます。
つまりTonicがTDになり、
代理コードに変化し更にはⅡーV化してしまったんです。
そんなステラ~ですが、
トニックコードに落ち着くことがほとんどありません。
なのでサビの一番最後のB♭も
トニックディミニッシュで代理してあげましょう。
G7・G7・C-7・C-7・A♭7・A♭7・B♭dim・B♭
そうした方がこの曲に合う気がします。
第120回:Diminish Chord⑤
もっともっといってみましょう。
Diminish使用法。
今回はAux Diminish
(オグジュアリーディミニッシュ・補助和音的使用法)です。
これは伴奏している時によく使用するのですが、
同ROOTでコードを
一瞬だけDiminishに置き換えてまた戻す方法。
C7~Cdim~C7~FM7~
勿論〇7コードではなくても問題はありませんが、
ようはどう聴こえるか?の問題。
〇7コードが一番自然に聴こえます。
C7→C、E、G、B♭
Cdim→C、E♭、G♭、A
どうでしょう?
ROOT以外の音を半音下げて戻す!これだけです。
コードサウンドを常に新鮮に聴かせる為に、
ほんの一瞬、補助する方法です
第121回:Diminish Chord⑥
さて、長く続いたDiminishも最後となりました。
最後はTensionについて。
まず、Diminish和音の上に音階を作る場合は
全音上のDiminish和音を積み、これがDiminish scaleとなります。
C・D・E♭・F・G♭・A♭・A・B
このうち、Diminishのテンションとして効果があるのは
9th(D)とM7(B)です。
M7がテンションだなんて、
なんかパッと聴いた感じで違和感がありますよね。
他のテンション(11th、♭13th)を使用するには
ちょっとした工夫が必要なようです。
Diminishの音階から派生するコードは勿論Diminish和音ですが、
他には代理和音でも書いた通り
〇7(♭9)と〇M7sus4(9、♭13)があります。
工夫とは、上記コードの内声音を一部変換させたり、
またはオンベースで使用する方法です。
これをギターで考えるとまだまだ知らない形がありそうですね。
また、これ以外にもDiminish内の音程の可能性など
調べてみると良いかと思います。