それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
神様からの試練
2001年3月、アン・ミュージックスクールを卒業。5年間の楽しい音楽学生生活が終わったのです。5年目には月に2回しか学校に行っていなかったのですが(ギターゼミクラスは月に2回!)いざ卒業すると一体どうしていいものやら・・・。
在学中からジャズクラブでギターデュオとして出演していたものの、授業が無くなり大きな変化が訪れたのです。当時のボクはジムホールのような、しっとりとした演奏をしていましたが、ジムのように緊張感をうまく出せず、演奏はどうも盛り上がりに欠けている状態で四苦八苦しておりました。月に1、2回のライブを行いながら、セッションに足を運び他流試合に臨み、家では狂ったように練習をしていました。今思えば「どうして在学中にバンドを結成しなかったのだろう?」と思います。卒業して数ヶ月が経ち「何かを変えなければ!」と毎日悩むようになっていました。演奏ではおこずかい程度のお金しか貰えず、バイト~練習の日々に嫌気がさしてきていたのでしょう。
その頃からか、その前からかは定かではないが、ボクの趣味は「部屋の模様替え」となっていました。模様替え作業は大変だけど、作業の後数日間は新鮮な気分でいられ、音楽の勉強が捗るんです(^^)こんなに楽しいのに、模様替えが好きな人と出会った事がないのは何故だろう・・・?
確かに模様替えは時には失敗に終わる。失敗だと気付くのは集中できなかった場合です。そんな時、ボクは風水のせいだと決めつけ、次の休みにはまた変えてしまう。しかし6畳1間の賃貸マンションでは、当然以前と変わらない位置になることがあります。そんな時にもボクは懐かしさを新鮮さ代わりにして満足しているのです。
音楽はとても深いもので、勉強することは山のようにありました。そんな中、ボクは1DKの部屋に移り住み、贅沢の限りを尽くしていたように思う。1DKの1人暮らしは最高でしたよ。模様替えも広い分、やり易いし選択肢も豊富で・・・誰も共感してくれないでしょうけど(`へ´)まだまだ仕事より勉強をしたいという気持ちが強かったので、やりたい放題です。
その頃、ジムホールにレッスンを受けたいとかエドビッカートの演奏を生で聴いてみたいとは思っていましたが、1DKの部屋は家賃が高く、また英語が話せないのでそれは完全な夢物語でした。今のようにYoutubeも無ければ、インターネットだってそれほど普及していません。
ちょうど、その頃、永く勤めたホテルでのバイトを辞め、ボクの好きなことでバイトをしようとバイク便を始めました。400ccのバイクで走っていると最高に気持ちが良い!今までのように満員電車や時間に気疲れすることなく、相変わらずのわがまま生活を楽しんでいました。そんな時、不幸が訪れたのです。
夜中、お腹が空いたのでご飯を食べに行こうと愛車にまたがり、発進させました。その時・・・
道路脇を走っている自分の目の中に看板が飛び込んできた・・・瞬時にハンドルを右に切り回避しましたが「ガツっ!」と鈍い音と同時に左手が熱くなってきているのを感じたのです。
心の中では「良かった、コケなくて・・」そう思いながら慎重に走り続けました。深夜で疲れもあり視力が弱くなっていたと思いますが、「看板が道路にはみ出ているなんて!」と怒りも込み上げてきました。その後、数百メートル走った時クラッチが握れないのに気付きバイクを止めました。手袋を取って見てみると、左手の中指、薬指、小指が腫上がっていました。腫れに気付いてから痛みに気付いたんです。薬指と小指はほとんど曲げられない状態だったのです。「しまった~」っと思いながらも、まぁ大丈夫だろうと。急遽コンビニ弁当を買い帰りました。家に帰って流水で冷やし、湿布を貼り、その日はゆっくりと休みました。
翌朝、目を覚ますとボクの小指は小指じゃない程に腫れており、曲げようとすれば、激痛が走りました。練習をしたいけれど、今はそれどころじゃありません。しばらく様子を見ましたが、痛みが消えないので近所の外科の午後の診察時間を見計らって行きました。レントゲンを取り、医師の前に座ると・・・
「これは、完全に折れてるねぇ~」
「えっ?今なんて?」
頭の中は真っ白でした。大した事ないと思っていた。最悪でも少しヒビが入ったのだろうと考えていたのでショックはかなり大きかったです。「ギターが弾けなくなる・・・」ボクの頭にはそれだけでした。ボクは医師に必死で自分がギタリストであること、弾かなければならない仕事があることを説明していました。すると医師は・・・
「これは難しいなぁ、うちでは出来ないから専門医にあたってみる」と。
中指と薬指は打撲程度だったのですが、小指の第1関節がポッキリと折れ、その折れた先側の骨が、第2関節の骨の上に乗ってしまっている状態でした。まるでショウリョウバッタのように!!「とりあえず今日は出来る限り元の位置になおして固定する」と告げられ、その場で指をギュウ~~っと、あまりの激痛に意識が遠くなりつつあるのを確認!静かにベッドに横になりました・・・いえいえ意識はまだあります。
立っていられなかったんです。冷や汗がドンドン出てきて医師は一時中断してくれました。その間にボクは「水ください!」と息を引き取るように静かに訴えました。ほんとに意識がなくなりそうだったんですよ。しばらく休んだ後、今度は指に麻酔、そしてギュ~っ!麻酔がかかっているはずなのに鈍痛があったんです。やっとの事で戻され、固定され明日また来るように言われ、フラフラの状態で帰宅しました。
コメント