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カナダ放浪記#13 〜Ed Bickertの行方〜

2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
目次

Ed Bickertの行方

ここトロントへ来て3週間はたった。朝は早く起きて食事に出かけ、昼過ぎからは公園で練習、夜はパトリックと遊び、夜中はタカやリーと過ごす。変わらないようで、毎日が生きていく為のチャレンジでした。ステイ出来る期間は限られている為なんとかEd Bickertを探し出したい! その思いが強くなる反面、どのクラブのスケジュールを見てもEd Bickertの名前を探しだすことが出来ませんでした。焦る気持ちは次第に膨れ上がり、このままでは後1ヶ月程で資金も底をついてしまうけれど、それでも構わない。クラブへ足を運びEd Bickertを探そう。そう思うようになりました。

パトリックとの予定がないある日、ボクはタカをジャズ・クラブへ誘いました。ヤング・ストリートを北上してウェズリー・ストリートの手前にある「Sax on young」というジャズクラブです。出演者はEd Bickertと共演したこともあるローン・ロフスキーのトリオです。地下へ降りる階段を降りるとモントリオール・ビストロまではいかないが結構な広さのクラブ、店員もしっかりとしている。タカと2人で後方のテーブル席に座りました。周りを見渡すとそこそこの客入り、また両脇にはビリヤード・テーブルがありました。そうこうしていると、ローンがギターのセッティングを始めました。クラブのせいか、本人のセッティングがそうなのか?彼のサウンドはモコモコとしており、クリアに聴こえません。しかし、彼の流れるようなラインは素敵でした。演奏が始まっても、やはりクリアに聴こえてきませんでした。何が原因かは分かりませんが、ハコの音響もいまいちだと感じました。彼は「I REMEMBER YOU」を始めとしてスタンダード・ソングを沢山演奏していました。 タカもクリアに聴こえないサウンドにあまり好感を持てなかったようです。
 

ファースト・セットが終わり彼の元へ話しかけに行こうか考えました。というのも演奏にはあまり満足いかなかったのです。 しかし、Ed Bickertの事を知りたいと思っていたボクは散々悩んだあげく話をする為に彼の元へ行きました。実の所は英語に自信がなくためらっていたんですけどね・・・(ー_ー;)彼の元へ行き「少し時間をもらえるか?」と聞くと、「少しなら・・・」と言ってくれたが、なんとも冷たい返事・・・。心臓はドキドキしてる。それでも勇気を持って自分が日本人であることギターを弾いていること、何の為にトロントに来たかを説明しました。 そしてEd Bickertのことを聴きました。すると彼は・・・

「Ed Bickertは今は演奏していない、2年前に奥さんをなくしてからライブはやっていないんだ!」

との事。ボクのショックは大きかったです。その場でボクは「あなたのレッスンを受けたい」と言っていました。 彼はボクがトロントにどのくらい居る予定なのか、今どこに泊まっているのかを聞き、「電話をくれ」とメモに電話番号を書きボクにくれました。 「Thank You」そういうとボクはタカの元へと戻りました。そこからは正直あまり覚えておりません。

Ed Bickertが演奏をしていないだって?ボクはいったい何の為にトロントまで来たんだ!いったいこれからどうすればいいのか? このショックはしばらく続きました。目的を失ってしまったんですから今思えば当然のことです。翌日から公園でボ~っとする時間が増えました。一人で高い空を見上げ、この後の行方を神様が教えてくれるのを待つかのように、ただただ今このカナダに居る瞬間が何なのか知りたかったんです。

「何かを変えなければ!」そう思ったボクはタカとリーとで再びクラブに行くことにしました。今度はユースから、ほんの100mたらずの場所にあるクラブです。そこにはサックス奏者のグループが既にセッティングを終えて演奏が始まるまでの時間を過ごしていました。ビールを飲みながら、演奏を聴いたのですがテレキャスターを持った上手なギタリストが気に入りました。伴奏がEdにそっくりなんです。 アドリブはロックの影響を大きく受けた感じだったのですが「おっ、いいなぁ」そう思ったボクはファースト・セットが終わるとすぐ彼の元へ行きました。(←もうためらってません、かなり飲んだくれてましたから・・・) 彼にもまた「自分が日本から来たギタリストだ」と伝えました。ボクがそう言い終わる前に彼は・・・

「君を知ってるよ」

「????」なんでボクを知ってるんだろう?不思議に思っていると、彼はこう言葉を重ねました。

「このまえ、Sax on youngに来てたでしょ?」

なんとローンが座っていた席は彼が居た席だったんです。なんという偶然。ミュージシャンってやっぱりどこかで繋がっているものです(^^) 妙に嬉しくなったボクは彼とギターについてEd Bickertについて色々話しました。彼もEdが演奏をしていないのは残念に思っているらしいけれど、どうしようもないと言っていました。一番の方法はローンに連絡を取ることだそうです。 ローンとEd Bickertは仲が良いそうです。また彼にカナダの伝説のギタリスト:レニー・ブリューの事を聞きました。彼の演奏はタル・ファーロウとのCDを聴いたことがあり、あまり好きになれなかったのでボクは特に興味を持ちませんでした。

演奏はその後も続き最後はセッションになっていました。ギターを持ってきていなかったのでボクは参加できませんでしたがカナダのジャムを初めて見ました。セッションはどうやら日本とあまり変わらないようで、みんなが楽しそうに演奏をしていました。 サックスが3本入っての「FOUR&MORE」はかっこ良かったです。カナダのミュージシャンのレベルの高さをまたしても知ることになりました。しかし、自分でも十分通用すると思いましたよ。(←自信過剰)

道はある程度見えてきました。ローンに連絡を取ることがEd Bickertに会うための一番の方法だと分かったんですから。しかしこの後、カナダ生活で一番大変な出来事がボクを襲いました。いえ、ボクの責任なんですが・・・・。

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