楽曲記憶
曲が覚えられません!
Today's mini Lesson
今回はレッスンで説明することがとても多いお話です。「さぁ、アドリブやりましょうか!」と言うと、テーマの譜面を急いで探す生徒さんが沢山いらっしゃいます。また「曲をどうやって覚えているんですか?」とレッスンで質問されることが多々あります。覚え方云々より、記憶することでのメリットをしっかり考えたほうがいいのでは?と思うんです。曲をしっかり覚えればプレイも良くなる方が多いですし、発表会が決まると”発表する曲”は覚えられる方が多いです。本気度の違いでしょうか?「曲を覚えることがジャズライン習得の近道となる!」と断言するのは、少し言い過ぎかも知れませんが、自分の演奏でいっぱいいっぱいの学習初期の段階では、曲を覚えたほうがメリットは多いですよ。今回はそんな楽曲記憶について、思うところを書いていきたいと思います。
何のために覚えるの?
曲を覚えるための方法をよく聞かれますが、何のために記憶するのでしょうか?
ポイント
はい、その通り!良い事だらけですよ!
実はレッスンがスムーズに進む生徒様ほど、曲を早く覚えてくる傾向があります。
初心者と上級者では話は別
ポイント
セッションへ行くとホストの人でも、見ながら弾いている方も多いですよね!そのホストの姿を見て、ジャズ初心者が「譜面を見ても良いんだ!」と思ってしまうのは問題かなと思います。上級者は沢山の演奏経験があるから、譜面を見ながらでも、そこそこ演奏出来ます。音楽では意識することが沢山ありますよね、自身の演奏(リズムの選択、音の選択、ニュアンスの選択)共演者の演奏、それに音楽的な展開。上級者は譜面を見ながらでも、バックの共演者の演奏を聴くぐらいの、ある程度のゆとりはあります。自身の演奏への意識のパーセンテージが低くても、それなりな演奏が出来ます。
でも、初心者は?
ポイント
周りの演奏に意識がいかず、自分の演奏で精一杯ですよね?自分がどこをプレイしているか?ロストをしないようにキープするので精一杯だったりしますよね?譜面を見ながら弾いている上級者とは違います。真似をしてはいけません。
シングルノートだけでコードを表現するにはこの3つだけ!
コードを表現するジャズライン
- スケール的なもの
- アルペジオ的なもの
- アプローチ的なもの
ポイント
無窮動トレーニングの優れた教本がありますが、ジャズ学習初期における「コードを表現するジャズライン」のポイントは上記のスケール要素、アルペジオ要素、アプローチ要素の3種類だけです。あとはそれぞれのバリエーションを覚えていきます。スケールで演奏するときのポイントを覚え、アルペジオなどの演奏方法を覚え、アプローチの仕方を覚えていきます。
無窮動ラインは自分の持っているラインのアイデアが全て出てしまうので正直、私は怖くて書けません。スケールの崩し方のアイデア、アルペジオやその他、音のグループのアイデア、アプローチのアイデア。無限に繋がっていくような気さえする無窮動な音の繋がりも、実はシンプルな3要素のバリエーションで出来上がっています。勿論、音楽はラインだけではありませんけどね。
※ラインのポイントなので、リズムの選択肢、ニュアンスの選択肢、音楽的な展開はここでは省きます。
次のコードを考える
ポイント
シングルノートだけでかっこいいラインをバシバシ決めていくには、次のコードにアプローチして、アルペジオ弾いて、また次のコードにアプローチして、今度はスケール、そしてまた次のコードへアプローチ、更に次のコードへアプローチしてアルペジオ!スケール弾いたら、またアプローチ!
そう・・・アプローチ。
そう、次のコード!
次のコードが見えていなければアプローチが出来ませんよね?
次のコードを確認する(譜面を見る)のが遅れたらアプローチ出来ませんよね?
いや、そもそもアプローチしようとするのが遅いから、譜面の確認が遅いのだろうか?
譜面を見なければ良いじゃないですか!
脳内の数パーセントが持っていかれる!
ポイント
ある程度、演奏が出来る我々も、より自由にプレイしたい時はしっかりと曲を覚えます。楽曲を記憶している方が音楽を演奏する上でのメリットが多いからです。時には演奏中に目を閉じたほうが良いプレイが出来るような気がします。ジャズでは様々なことを同時に考えて演奏しなければならないからこそ、覚えてしまえることは早めに覚えてしまった方が良いと思います。楽曲もそうですし、調性、スケール、コードトーンなどもですね。ジャズ学習初心者は特に意識して、「曲を覚えなければ習得が遅れてしまう!」ぐらいに思っても良いと思います。
まとめと記憶方法
まとめ
だらだらと書いてきましたが、記憶することのメリットをしっかり考えましょう。
楽曲を記憶することが早い習得と、良い演奏に繋がります。
記憶方法
記憶するための方法は様々です。そして人それぞれだと思います。因みに私はソフトで作られた綺麗な譜面だと覚えられないんですねー。なので、いつも手書きで書き直します。1段は4小節で綺麗に書きます(変則小節の場合はどう書いたら記憶しやすいかを考えます)そして、適当なノートに乱雑でも良いので何度も何度もコード進行を書きます。ブツブツ呟きながら^^覚えようとします!
覚えたいから工夫して、覚えられるように努力します。
学生の頃は、コードメロディでソロギター風にして覚えていました。最近は新しい楽曲を覚えるときは4小節ぐらいずつ反復練習を繰り返します。テーマは色々なポジションで演奏します。伴奏コードとソロを交互に演奏しますが、伴奏も色々なヴォイシングを使用します。時には伴奏コードを1つ抜いたりもします。(コード進行を順番で覚えないよう意識します。)
数字の羅列が覚えにくいように、アルファベットの羅列も覚えにくいので、コード進行をアルファベットを使わずに言葉で説明するように、記憶するようにしています。とある曲のAメロは、「メジャーコードが4小節、マイナーコードが4小節、逆循環進行を2回進行して「Iコード」に辿り着く」と覚えています。こんな感じですね。
「G-G-G-G]
「Gm-Gm-Gm-Gm」
「Am7-D7-Bm7-E7」
「Am7-D7-G-G」
ディグリーの記憶は中級者以上
ディグリー(度数)での記憶は、移調や楽曲をより深く理解するのに非常に大切ではありますが、初心者がディグリーで覚えるのは酷な話です。「B♭マイナーキーの♭VI音」って言われても、すぐには出てきませんよね?ディグリー記憶のメリットより、辛さのが先にきます。ディグリーでの記憶は必要だと感じてからで大丈夫です。中級者から上級者ですね。